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  • EQ FANATIC 2011 QUAD TE vol.1

ウェイブボードの新たなスタンダード「クアッド」

新コンセプトだからこそ入念に開発し、満を持して、ファナティックがついにマルチフィンウェイブ「QUAD」を発表

  ファナティックが、満を持してマルチフィンウェイブ「QUAD」をついに発表した。他ブランドと比べて決して発表が早かったわけではない。その理由はテストを繰り返し、この新しいコンセプトとその性能に確信が持てるまで、腰を据えて開発にあたった証拠でもある。この数シーズン、突然のようにクアッドボードに対する興味が高まったが、ファナティックのデザインチームはそれを冷静に見て、スタンダードとして定着するボードなのかを入念にチェックしてきたのだ。
 ファナティックのブランドマネージャーのクレイグ・ガーテンバッハは、こう語る。
◎クレイグ「私はこのボードを100%完璧なものとするまで売り出さないと考えていました。ファナティックはどのモデルも同じですが、マウイにベースを置いていませんが、シェイパーのセバスチャンはギンチョーにベースを置き、ライダーのクラース・ボゲットは北海、ビクター・フェルナンデスはオンショアが強いアメリア、ブラウジーニョはブラジルとマウイというように、できるだけ様々なコンディションで、体格やスタイルの違った多くのライダーにテストしてもらっています。これが今年、このクアッドの開発においてとても重要でした。全く新しいコンセプトだからです。今、ケープタウンにいますが、グランカナリーやレユニオン、ギンチョー、デンマーク、マウイ、チリで既にテストを行っています。ですからこのボードはすでに、あらゆるコンディションにマッチする完成度になっているのです。
◎クレイグ「我々は数年前にツインザーが市場に出てからマルチフィンのセットアップについて記録してきていました。ですからクアッドに取りかかったときには、必要なものはもうすべて分かっていて、多くの作業は順調に進みました。我々は元々トライフィンを試したかったのです。そしてそれがとても上手くいったので、次の開発はクアッドだろうという話になりました。その理由は、ツインフィンはシングルフィンと違った利点が多いのですが、シングルフィンほどグリップ力がありません。クアッドはツインフィンの改善版と言えます。開発が新たなステップに進んだということなのです。私はこれから数年でツインフィンはあまり見られなくなると思っています。クアッドはツインフィンを越えたもので、おそらく1〜2年の間にツインフィンよりも可能性が高いクアッドの方が開発がより進むのではないでしょうか。シングルとツインにも多くの開発の余地はありますが、大切なのはグリップ力とスピードの点です」
◎クレイグ「クアッドの最初の開発段階で一番重要なのは、フィンの位置や角度、大きさなどを正しくセットアップすることです。いろいろと違ったフィンを試して働きの違いをみたり、レイキアングルが違ういろいろなフィンも試しました。そして、とうとう良いセットアップをみつけ、どこにフィンを取り付けたらいいか発見しました。また、クアッドは既存のツインやシングルのボードにさらにフィンを追加したというものではありません。ですから新しいクアッドには、クアッドに必要な全く新しいシェイプとロッカーを持っています。クアッドはツインと異なりグリップがより強く、レイルを入れた時にはテイルにパワーがありすぎるほどで、しかもクアッドはそのパワーをホールドできてしまいます。またリフトとドライブも強いので、ロッカーが強い方がバランスが良いのです。ですからクアッドのシェイプはまったく新しいものなのです。」

ブラウジーニョはコントロール性の高さに驚き、ビクターはこれを大会で使うと語った。

 チームライダーのマルシリオ・ブラウンは初期のクアッドを渡されて、彼はすぐに感動してこんな感想を漏らしました。
◎ブラウジーニョ「最初の数ヶ月で多くの新しいことが分かりました。最初に僕が気づいたのは、まっすぐに走っていても感じるクアッドのコントロール性能の高さでした。これは強風でジャンプしたり、荒れたコブのある海面でウェイブするために重要な要素で、全般的なコントロール性能がアップしていました。ブラジルでは2、3ftの波で驚くほど乗りやすく、グリップが強いのでタイトターンが決まります。とてもセイリングしやすいのです。失敗が少なくなり、波の行きたい行きたいところへボードを自在に向けられます。クアッドを試した後で他のボードで海に出ると少し難しいと感じたほどで、クアッドは楽しんでセイリングでき、とにかく乗りやすい、とても便利なボードです。
 同じくチームライダーのビクター・フェルナンデスは開発を振り返ってこう語りました。
◎ビクター「僕らが作ったクアッドボードのシェイプはシングルフィンと全く違っていて、既存のボードに新たにボックスをつけることができず、コンバーチブルボードにもできませんでした。クアッドにはロッカーを強くしたかったし、シングルは薄いレイルにしたかったからです。僕らはクアッドの開発を進めることでウェイブライディングも進化させました。今はとても良いボードになりました。今の状態になるまで、およそ12ヶ月費やしています。クアッドはグリップが強いので、波のトップに遅いタイミングで入れます。ツインザーより安心してリップに当てることもできます。ツインのときはテイルの挙動に満足していませんでした。チョッピーなときは僕には滑りやすく、大きな波でのグリップ力も少し弱いと感じていました。しかしクアッドは僕が求めるグリップがあり、スピードも出ます。僕は大会で信頼して乗れるボードが欲しいと常に思っていますが、シングルフィンのボードでは、完璧なタイミングで波のトップにいく必要があります。タイミングが完璧ならば、ボードがひっかかることはありません。でも少しでもズレるとボードが止まったりして、良い波乗りができません。クアッドならボードスピードとグリップ力があるので、安心して早めに行けます。チリやオンショアのギンチョーでもテストしましたが、とても良かったです。クアッドはシングルと同じスピードが出るし、ジャンプの時のリフトも同じ程度あります。だから僕はクアッドを選びます。また、タカなどのムーブを波の上でするとき、クアッドなら後ろ足でプッシュすると、よりスピードアップしてスライドするのでムーブをメイクしやすいからです。コントロールできるスライドなので、ムーブ後ボードをグリップさせることもできます。ツインフィンでもいい感じにスライドできますが、ときどきコントロールしきれないこともあるのです。

<VOL.2に続く>

 


 

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(株)サーフトレーディング

 


FANATIC QUAD TE
価格未定

ツインフィンの利点を持ちながらも、シングルフィンのようなスピードとグリップを誇るクアッド。ファナティックは長い時間をかけ、単にツインフィンのシェイプに2枚のフィンを追加したものではない、クアッドならではのまったく新しいシェイプに到達した。


ツインのようなラディカルな動きと高いグリップ力、そしてスプレーの多さなど、この一連の連続写真にはグアッドのポテンシャルの高さが凝縮している。